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急性膵炎ーその2
*ここに掲載されている「病気のはなし」は、当院広報誌「エヌアイだより」より引用しています。

病気のはなし
広報誌「エヌアイだより」第17号 「急性膵炎について その2」 横田 広子 医長

急性膵炎の原因となるのは主に次の2つです。

@アルコールの摂取……アルコールが急性膵炎を起こす仕組みははっきりとは解明されていませんが、いくつかの理由が考えられています。その一つとして、アルコールにより膵臓の消化酵素を作る細胞自体が刺激を受け、膵液が多量に分泌されることがあります。またアルコールをたくさん飲むと、それによって膵管の出口がむくみます。すると膵液が十二指腸に流れずに膵臓内にたまってしまい、自己消化を起こすとも考えられています。いずれにしても過度のアルコール摂取が急性膵炎の原因となっていることははっきりしています。
A胆石……胆嚢から流れ出た胆石が胆管の下の方に詰まってしまうことがあります。その部分は膵管も合流している場所なので、膵液の流れも障害されてしまい、膵液は膵臓内にたまっていきます。一方、胆管を流れている胆汁も本来の行き先である十二指腸に流れ難い為、うっ滞して細菌に感染し、膵臓内に流れ込みます。その結果、膵臓内で感染した胆汁と膵液が混ざり合って、膵液が活性化され、膵臓自体が消化されてしまうのです。そのほか高脂血症が原因となったり、他の病気の手術後に起こることもありますが、急性膵炎の原因の約 %は胆石とアルコールです。
 急性膵炎はしばしば再発します。とくに軽症だった患者さんの場合、手術などをしなくても治ったために、急性膵炎を起こしやすい生活習慣がなかなか改められず、何度も繰り返してしまうこともあります。再発を防ぐためには次のことに心がけましょう。
*膵臓を刺激しない……暴飲暴食など膵臓を必要以上に刺激することはやめましょう。アルコールはもちろんのこと、脂っこいものをたくさん食べた後にも急性膵炎をおこしやすいので、気を付けましょう。
*胆石を治療する……胆石など、急性膵炎の原因となる病気がある人は、それを治療しておくことも大切です。

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広報誌「エヌアイだより」第16号 「急性膵炎について その1」 横田 広子 医長

 膵臓は、胃の裏側にあり、長さ Bほどのオタマジャクシ形をしています。左側の先端は脾臓に、右側は十二指腸に接しています。膵臓の中心には主膵管という細い管が走っていますが、これは十二指腸と接する部分で胆管と合流しています。
 では膵臓はどのような働きをしているのでしょうか。膵臓には大工場と小工場があり、大工場は消化酵素を含む膵液の分泌をしており、小工場はホルモンの分泌をしています。膵液のなかには、タンパク質を分解するトリプシン、でんぷんを分解するアミラーゼ、脂肪を分解するリパーゼなど様々な種類の消化酵素が含まれます。膵液は膵管を通って十二指腸へ分泌され、栄養分の消化吸収に役立っています。膵臓の中のランゲルハンス島という部分が小工場で、ここでは血液中の糖の量を調整するホルモンを分泌しています。血糖値を下げるホルモンをインスリン、反対に血糖値を上げるホルモンをグルカゴンといいます。これらは膵臓内の毛細血管を通じて血液中に分泌されます。
 膵臓に起こる病気の一つに急性膵炎があります。これは膵液の働きによって、膵臓自体が消化されてしまう病気です。膵液のなかには消化酵素が含まれていますが、これらは膵臓内では作用せず、十二指腸で他の分泌液と混ざり合って初めて活性化し、消化力を発揮します。しかし何らかの原因で膵液が膵臓内で活性化されると、膵臓自体を消化するように働き、膵臓に炎症がおきます。急性膵炎が重症化し、死に至る場合も稀にあります。
急性膵炎になると、みぞおちの辺りに激しい痛みが起こります。痛みは背中や腰にまで広がることも多く、あまりの痛さに、エビのように背中を丸めてしまうほどです。そしてこのような痛みが弱まることなく続きます。吐き気や嘔吐を伴うことも少なくありません。重症になるとショック症状に陥り、意識障害や血圧低下、呼吸器や腎機能障害が誘発されることもあります。こうした症状は、食事や飲酒をした後、消化が始まった頃
に突然起こることが多く、そのため夜寝ている間や明け方に起こることになります。

 次回は急性膵炎の原因についてお話しします。

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広報誌「エヌアイだより」第15号 「胆石について その2」 安藤 拓也 医師
 今回は、胆石の検査と治療法について説明します。
 胆石を確認するには、まず超音波検査が行われます。超音波検査では、直径2@以上の胆石は %以上検出可能です。さらにCT検査、経静脈的胆道造影法(DIC)、内視鏡的逆行性胆道造影法(ERCP)なども必要に応じて行います。総胆管の結石は超音波検査では検出率が低く、診断にはDIC
やERCPが有用です。
 治療法は、薬物で胆石を溶かす「胆石溶解療法」や、胆石を衝撃波で砕く「体外衝撃波胆石破砕療法」もあ
りますが成功率が低く、ほとんどの場合、手術が行われます。
 手術の適応は、頻回に胆石発作を生じる場合、胆のう炎を生じた場合、胆のうの壁が肥厚し胆嚢癌の合併が疑われる場合などです。大きな石が1つある場合よりも、小さな胆石が多数ある場合の方が胆石発作を起こしたり、総胆管へ落ち込む可能性があるので、このような場合も手術を行うことをお勧めします。
 手術の目的は「胆石が生成される胆のうを摘出すること」です。胆のうを摘出すると、胆汁を貯蔵する場所がなくなるので、脂っこいものを食べると消化に手間取り、下痢や腹痛を起こすことがあるかもしれませんが、次第に順応しますので大きな問題は生じません。
「腹腔鏡下胆のう摘出術」では、おなかを大きく切る必要はなく、腹部に5〜 @の孔を4ヶ所開け、腹腔鏡という内視鏡の一種を用いて胆のうを摘出します。痛みも少なく回復も早いのが特徴で、手術後1週間で退院できます。しかし、上腹部の手術をしたことがある場合や、急性・慢性胆のう炎で炎症が強い場合などでは、従来の「開腹手術」が行われます。また無症状胆石は年に1〜2%が発症し、将来的には約半数近く発症するとも言われており、胆石症に胆のう癌を合併することもあるので、手術を行わない場合も経過観察を続けることが必要です。健診などで胆石を指摘されている方は、症状の有無に関わらず、今後の治療についてご相談下さい。

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広報誌「エヌアイだより」第14号 「胆石について その1」 安藤 拓也 医師

 「胆のう」とは、肝臓でつくられた胆汁を一時的に貯蔵する場所です。貯蔵することにより胆汁の水分を吸収し、胆汁を濃縮します。胃から十二指腸に食べ物が送られてくると、胆のうが収縮し、貯めておいた胆汁が総胆管を通って十二指腸に押し流されます。「胆石」は、胆汁の成分が、胆のうや胆管で固まって、石状または泥状になったものです。
 胆のうの中にできる胆石の場合、石があるというだけでは痛みは起きず、多くの場合無症状です(無症状胆石)。胆のうが収縮する際に、胆のうの中にあった胆石が一緒に動いて、胆のう管の狭い部分に詰まると、激痛が起きます。これが「胆石発作」で「みぞおちから右上腹部、背中」が痛みますが、通常数十分から数時間で治まります。細菌感染が加わり「胆のう炎」を起こすと、痛みが長く続き、発熱します。また、胆のうが破れて腹膜炎を起こす危険もあります。小さな胆石が総胆管に落ちこむと「胆管炎」を生じることがあります。「胆管炎」は症状が強く、腹痛、発熱のほか黄疸や肝機能障害も生じ、意識障害を起こすこともあります。
 胆石のできる原因としては、(1)食べ過ぎや脂っこい食事により、胆汁の成分のコレステロールが濃すぎる状態になること。(2)胆のうの機能が落ち、胆汁が胆のうに滞ること、などがあります。
 胆石症の患者さんの数は年齢が高くなるとともに多くなりますが、最近では、食生活の変化や無理なダイエットが原因となり、若い世代の患者さんが増えています。食事を抜くなどして 時間以上食べないと、胆のうには濃縮された胆汁が貯まりっぱなしになり、胆石ができやすい環境になります。
 従って予防法としては、濃縮された胆汁を胆のうに長時間貯めておかないことが大切です。1日3回規則的な食事を心がけましょう。また食事の内容に気をつけ、脂肪の摂取量が増えないようにして下さい。

 次回は、検査法や治療法について説明します。

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広報誌「エヌアイだより」第13号 「便通異常について その2.便秘」 本庄 孝行 医師

 前回に引き続き便通異常のテーマで、今回は「便秘」についてお話しします。
 便秘とは、便が硬くなり排便に困難を伴う状態をいいます。一般的に便秘という場合は機能性の便秘を指し、次の二つに大別されます。

一、弛緩性(単純性)便秘…全結腸で通過時間が延長し発症します。

二、痙攣性便秘…右側結腸の通過時間が延長し発症します。通過時間延長は、左側結腸の緊張が高く、内容物の移動が妨げられることにより起こります。
 二年以内の発症であれば、まず第一に直腸・大腸癌の存在を考え、問診で薬剤の服用、治療中の疾患、既往歴を確認し、直腸診、便潜血反応などの結果をふまえ、器質的障害が疑われれば、大腸内視鏡検査を追加します。二次性の便秘が除外されたら、弛緩性(単純性)便秘と痙攣性便秘を鑑別します。機能性以外の便秘では、原疾患に対する治療を行います。弛緩制便秘には、腸管運動を誘発するお薬や、膨脹性下剤を使用します。浣腸の頻用は直腸伸展による排便運動の誘発を鈍麻させるので好ましくありません。痙攣性便秘の場合は、繊維の摂取を勧め、便を軟らかくする下剤を使用します。刺激性の下剤は腹痛を増悪する可能性があります。
 下痢と便秘の多くは食べ物や生活の変化、あるいはストレス(不安・恐怖・怒り)をはじめとして、精神的・心理的な影響によるものが多く、まずは生活や食事を改めてみる必要があります。放っておかない方がよいものもありますので、下痢・便秘でお悩みの方は、一度、医師にご相談ください。

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広報誌「エヌアイだより」第12号 「便通異常について その1.下痢」 本庄 孝行 医師

 便通異常は大きく分けて下痢と便秘に大別されます。通常、便秘になると便は硬くなりますが、病態によっては軟便や粘液便など下痢に近い糞便であることもあり、両者が混在することも少なくありません。
 それではここで、下痢の定義から説明をしていきましょう。
 下痢とは、便の水分量が増加(80 %以上)し、液状またはそれに近い状態にあるものをいい、通常、便通回数あるいは便量の増加を伴います。その中で症状が三週間以上持続するものが慢性下痢といわれます。また、発生機序からは次の四つに分類されます。
一、吸収障害…分解酵素の欠損、非吸収性の糖類の摂取、呼吸面積の減少。
二、分泌の増加…細菌の毒素、ウィルス、下剤、胆汁酸の増加(回腸・胆のう障害)、膵酵素の欠乏、ホルモン産生腫瘍、消化管の粘膜障害。

三、腸管静水圧の上昇…門脈圧亢進症。

四、消化管の運動異常…下剤、感染、過敏性腸症候群、糖尿病。

 これらは問診をはじめ触診、血液検査、糞便検査を行い、必要により、大腸内視鏡検査などを追加し診断します。
 治療は、水分や電解質の補給および消化の良い低脂肪食の摂取が基本となりますが、乳酸菌製剤の使用や腹痛が強いときは、鎮痙剤(おなかの動きを抑制する薬剤)を使用し、感染に関しては、抗生剤を使用します。その他、発生機序にあった治療が選択されていきます。
 頻回の下痢は、脱水を招きます。特に、乳幼児と高齢者は早めに受診して、適切な治療を受けましょう。

 次号では、便秘についてお話しします。

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広報誌「エヌアイだより」第11号 「胃がんについて」 横田 広子 医長
 胃がんは日本人には多く、現在も患者さんの数は減っていません。しかし、早期発見・早期治療されるケースが増えていることから、死亡率は低下しています。胃癌の患者さんのうち半分以上の人は、検診などによって早期にがんが発見されるため、治療によって完治しています。早期のがんは症状のないことが多く、これらの患者さんは、集団検診で行われる内視鏡検査やX線検査で発見されます。がんの進行度と症状の発現期は様々なので、症状の発現を待っていては遅い場合が多いのです。最近は、内視鏡検査の発達により、X線では非常にわかりにくいケースも発見されるようになりました。
 がんの治療にはいろいろな方法があり、がんの進行度によって治療方針が決められます。早期がんでは、内視鏡切除、腹腔鏡切除、部分切除、通常の胃切除などが行われます。やや進行したがんでは、標準切除に化学療法を加える場合があります。かなり進行したがんでは、術前化学療法を実施してから手術を行うか、化学療法のみの場合もあります。
 近年、内視鏡治療技術の進歩により、過去には手術されていたケースが内視鏡下で治療できるようになってきました。ただし、どんな病変にも適応になるわけではなく、まず早期癌であること、それに大きさ、形、がん細胞の種類など様々の条件を満たす必要があります。
 何れにしろ、早期発見することが完治につながるわけですから、症状の有無、健康に自信の有無にかかわらず、定期的に検査を実施することが大事と考えられます。日常診療をしていますと、定年になるまでは毎年会社で検診を実施していたけれど、定年になってからはつい面倒で…、症状もないし…という方たちをお見受けします。それでは早期発見につながりません。自分の身体は自分で積極的に守りましょう。

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広報誌「エヌアイだより」第10号 「心臓病について」 籾山 嘉樹 医師
 胃腸科の病院で心臓の話をするのは変かもしれませんが、現代社会において病気は複数の病気を患っている方も多いのです。一口に心臓の病気といっても沢山ありますが、ここでは代表的な病気『虚血性心疾患』についてお話しさせていただきます。
 さて『虚血…』とは何でしょう?
 心臓は3本の血管で栄養されており、1日およそ 10万回動いています。その3本の血管(冠動脈)の1本でも狭窄(狭くなる)もしくは閉塞(つまる)した状態を虚血といいます。虚血は高脂血症が最大の原因で、動脈硬化が進み、起こるといわれています。虚血性心疾患は大きく二つに分けます。一つは狭心症でもう一つは心筋梗塞です。狭心症は、冠動脈内で狭窄が進み最大 99%までいった状態で、まだ多少は血液の流れが保たれている状態です。狭心症でも種類があり、労作性狭心症と安静時狭心症があります。心筋梗塞は冠動脈が100%狭窄し、心臓に栄養・酸素が運搬されない非常に怖い状態です。診断・治療に時間がかかると救命率は非常に低下します。幸いこの地域は、高度救命センターを持った病院があるため、比較的救命率が高いです。以前の日本には狭心症・心筋梗塞は少なかったのです。しかし食生活が欧米化し高脂血症・糖尿病がこれだけ増えれば、今後増加の一途でしょう。症状はほんどが胸痛です。それも冷汗をともなったものが多く見られます。しかし胸痛といっても肩が痛いとか下あごが痛いとか、またみぞおちが痛いとか、さまざまです。ほとんどの場合、心電図をみれば診断がつきますが、虚血の程度により全く心電図変化が現れないものもあります。虚血の程度を調べるために心臓のカテーテル検査が必要です。その結果、冠動脈の狭窄率が 50%以下なら内服でコントロールが可能です、しかしそれ以上ならバルーンによる拡張術が選択されるでしょう。いずれにしても狭心症、心筋梗塞の予備軍といわれている《糖尿病、高脂血症》の方には是非早期治療をお奨めします。また、この病気はある意味一生涯つき合うわけですから、専門医で治療が確定したら、近所で信頼できるかかりつけ医を探すことも大切ではないでしょうか。

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広報誌「エヌアイだより」第9号 「高血圧症について〜その2」 三浦 悟 医師
3.高血圧の治療
 血圧の値にもよりますが、中等症までの高血圧ではまず生活習慣の改善をすることが大切になります。中等症とは、おおよそ最大血圧は180mmHgまで、最低血圧は110mmHgまでをさします。ここで注意が必要なのは、心血管疾患には高血圧以外の危険因子が知られていることです。具体的には、喫煙、高脂血症(特に高コレステロール血症)、糖尿病、高齢(男性 歳、女性 歳以上)、家族に若年で発症した心血管疾患がいることなどがあります。これらの人は、危険因子のない人よりもより厳密な血圧のコントロールが必要で、特に糖尿病の人はさらに厳格な血圧の管理をしないといけません。
 生活習慣では、まず食事療法が大原則となります。塩分は控え目にしてください。日本人は通常の食事では1日にくらいの塩分をとっています。これを に、できれば にすれば理想的です。バランスのよい食事をして、食べ過ぎに注意することも重要です。太っている人はやせるだけで血圧が下がる場合もあります。アルコールの飲み過ぎも血圧を上げることが知られていますので、1日に一合くらいまでにしてください。喫煙と血圧の関係にはよく分かっていない部分もあるのですが、健康全般のことを考えれば禁煙が望ましいのはいうまでもないでしょう。
 食事に加えて、適度な運動も大切です。運動をするとその時は血圧が上がりますが、続けていると徐々に血圧は低下してくることが知られています。
 生活習慣の改善をしても十分に血圧が低下しない場合や、生活習慣の改善自体がうまくできないときは、薬剤による治療が必要となります。以前は利尿剤といって尿量を増やして血圧を下げる薬や、心臓の動きを抑える薬が主体でしたが、最近では血管を拡張させて血圧を下げる薬が主流になっています。これらの薬は、比較的副作用が少なく、1日に1回の服用ですむものが多いので、高血圧の薬による治療は患者さんにとってそれほど負担にならなくなっています。
 したがって高血圧の人は、なるべく早い時期に医療機関を受診して、適切な治療を開始することが望ましいですし、現在は血圧が正常な人も1年に1回くらいは、チェックしておくとよいでしょう。

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広報誌「エヌアイだより」第8号 「高血圧症について〜その1」 三浦 悟 医師

1.高血圧とは
 血圧とは、血液を心臓から体のすみずみに送り出すために、血液にかかっている圧力のことです。血圧には、最大血圧(収縮期血圧)と最小血圧(拡張期血圧)の二つがあります。心臓をポンプ、血管をゴム管と考えるとわかりやすく、ポンプから血液が送り出されて、最もゴム管がひろがった時の圧力が最大血圧、ゴム管が縮んでもとに戻ったときの圧力が最小血圧になります。
 少し前までは、高血圧は最大血圧が160mmHg以上、または最小血圧が90mmHg以上とされていました。しかし、最近の研究では血圧と心血管疾患との関連の強さが分かり、よりきびしい値が求められる傾向にあります。日本高血圧学会の最新のガイドラインでは、高血圧は最大血圧140mmHg以上、または最小血圧90mmHg以上が高血圧とされています。ただ注意が必要なのは、血圧は運動や精神的緊張などで想像以上に高くなることがあります。極端な場合は、白衣高血圧と言って、病院で測ると高くなるのに自宅では正常という人もいます。したがって、なるべくリラックスした姿勢で、時間を変えて何回か測ることが重要です。

2.高血圧になると 
 高血圧が怖いのは、心臓と血管に負担がかかることです。心臓は高い血圧に対抗して働くため負担がかかり、心肥大をおこして機能が低下します。血管にも圧力がかかるため、動脈硬化が進行し、心筋梗塞や狭心症という虚血性心疾患、脳出血や脳梗塞という脳卒中、腎臓病などにかかりやすくなるのです。ある統計では、高血圧の人は正常血圧の人の10倍も脳卒中になりやすいという結果がでています。
 高血圧の人では、頭痛、肩こり等の症状がみられる場合もありますが、多くは特別な症状がなく、知らないままに心臓や血管に負担がかかっているので注意が必要なのです。
 次回は、高血圧の治療についてご説明します。

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広報誌「エヌアイだより」第7号 「高脂血症について」  杉浦 博士 医師
 高脂血症とは血清コレステロール、中性脂肪の濃度が高値である状態をいいます。家族性(遺伝性)のものと、そうでないものとがありますが、特に後者の場合では、栄養の摂りすぎが原因である場合が多いようです。この病気は症状がないため、見過ごされたり、軽く見られがちです。しかしこの状態が長く続くことにより、心筋梗塞のような動脈硬化性疾患の発症率が確実に増加するため、治療・予防が必要となってくるわけです。
 治療は、基礎に食事療法と運動療法があげられます。食事に関しては、食べ過ぎないことが大事で、具体的にいえば、標準体重(kg)あたり25〜30キロカロリーを目安に摂取し、さらに糖質、脂質、蛋白質のバランスをおよそ65%、20%、15%とするのがよいとされています。脂肪分だけを制限しても、糖質(ごはんなど)を過剰に摂取していてはだめなのです。運動に関しては、無理なく継続して行うことが重要です。高脂血症の治療には速歩きなどの有酸素運動が効果的です。少し息がはずむ程度で一定のペースで行うのがよいとされており、これを30分以上継続し、60分位を目標とします。犬の散歩は知らないうちに犬にペースを合わせてしまうので、運動としての意味はあまりないといわれています。しないよりは随分ましですが…。また足を痛めている方は膝への負担の少ない、プールでの歩行がお勧めです。これらの運動を週3〜4回は行うようにしましょう。食事・運動療法によっても改善されない高脂血症に対しては、薬物療法が必要となってきます。
 高脂血症はいわゆる生活習慣病で、糖尿病や高血圧との合併も多くみられます。普段から食事に気をつけ、運動不足にならないようにしましょう。

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広報誌「エヌアイだより」第6号 「糖尿病について」  柴田 小百合 医師
 糖尿病は、血液中に含まれるブドウ糖(血糖)が異常に多くなる病気です。初期の段階ではほとんど自覚症状がないのが特徴なため、せっかく健診等で血液異常を指摘されても放置してしまう人が少なくありません。
 高血糖の状態を放っておくと、やがては網膜症・腎症・神経障害をはじめ、心筋梗塞や脳梗塞といった様々な合併症をひきおこし、命を脅かすことになります。
 糖尿病の原因は、遺伝的素因に加え、過食・運動不足・肥満・ストレスなどの悪い生活習慣にあります。食生活の欧米化、自動車の普及に伴い、糖尿病患者数も増加しています。 前述したように、糖尿病の初期にはほとんど自覚症状はありません。口渇・多尿・手足のしびれ・視力低下・体重減少・疲れやすい等の症状が現れたら、ある程度病状が進行していると考えられます。早めに検査をし、適切な治療を受けて下さい。
 糖尿病治療の基本は、食事療法と運動療法です。適切なエネルギー摂取と、バランスのとれた食事をすることが大切です。また、適度な運動は血中のブドウ糖を消費しインスリンの効きを良くします。血糖が上昇する食後30分位から歩き始めると効果的です。
 食事・運動療法でうまく血糖が下がらない時は薬物療法を併用します。薬の種類は、患者さまの症状や糖尿病のタイプによって決められます。
 患者さんが、ご自分の症状を知ることはとても大切なことです。定期的に血液検査を行い、それをもとに、自分に合った治療を受けて下さい。

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広報誌「エヌアイだより」第5号 「肝炎について」  遠藤 一夫 医師
 肝炎とは、肝臓が炎症をおこした状態です。日本では、ウィルスによる肝炎が8割以上を占めます。ウィルス性肝炎には、ウィルスの種類によってA型・B型・C型などがあります。また、一過性の急性肝炎と経過が長引く慢性肝炎、急性で非常に重い劇症肝炎があります。《A型肝炎》ウィルスに汚染した食物や水を介して経口的に感染します。急性だけで慢性化せず、死亡する人はほとんどいません。《B型肝炎》輸血やウィルス保有者(キャリアー)から感染し、一部は慢性肝炎や劇症肝炎になることがあります。今日輸血での感染はなく、母子感染も出産後にワクチンを投与することで防げるようになってきました。今後は減少の一途をたどると考えられます。《C型肝炎》日本人の肝臓がんのほとんどが肝炎ウィルスと密接に関係しており、肝臓がん患者の約8割がC型肝炎ウィルスに感染しています。ウィルスは血液を介して感染します。3〜4割は、まだC型ウィルスが発見されていなかった時代(1989年以降は供血者の血液のC型肝炎ウィルス検査が行われるようになり、我が国の輸血後肝炎は大幅に減少しています。)に行われた輸血、1割前後が入れ墨や覚せい剤など汚染された針で感染しています。残りの半分は感染経路不明です。感染してから、肝臓がんに進行するまではおよそ30年(感染から5〜10年で慢性肝炎。その後10年で肝硬変、さらに10年で肝臓がんへと進行)といわれています。C型肝炎は自覚症状に乏しく、知らぬ間に進行する病気です。従って、感染を知っておくことが肝臓がん予防の第一歩になります。健康診断などで肝臓機能の異常を示すGPTやGOTの数値が上がっていたら、必ずウィルス性肝炎の検査を受けることが必要です。治療ですが、ウィルスに対する薬として、近年インターフェロンが開発されました。この薬を適切に使うことによって、ウィルスが駆除され、肝炎が完全に治る場合もあります。感染予防は、C型肝炎ウィルス保有者の血液を傷のある手で触らないこと。触ったときにはすぐに水でよく洗い流すことです。     

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広報誌「エヌアイだより」第4号 「風邪について」  中野 浩一郎 医師
 かぜは、空気中のウィルスなどの病原微生物が、鼻から声帯(喉頭)までの上気道に感染し、炎症を起こす病気です。主な症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、せき、のどの痛み、かすれ声、発熱、頭痛などです。       
 かぜは、その9割以上がウィルスを原因として起こります。なかでも怖いのはインフルエンザウィルスです。インフルエンザウィルスの感染力は非常に強く、いったん発症すると爆発的に流行します。また、最も肺炎を起こしやすいウィルスでもあります。インフルエンザでは、ほかのかぜのような症状に加えて、高熱や筋肉痛といった全身症状が伴います。さらに、髄膜炎や下痢などの消化器症状を伴うこともあります。   
 かぜをひいたら、まず温かくして安静を保ち、十分に栄養をとるようにしましょう。熱が出ているときは、汗をかいて脱水状態に陥りやすいので、こまめに水分を補給することも大切です。また、空気が乾燥していると、ウィルスの活動が活発化しますので、加湿器などを利用して、室内の湿度を調節してください。たばこを吸う人は、のどを痛めるので禁煙しましょう。 
 かぜ薬は、ウィルスを退治するものではなく、症状を緩和するものです。熱には解熱薬、せきにはせき止め、鼻水には抗ヒスタミン薬というように、それぞれ症状に応じた薬が用いられます。また、かぜをひいた後に起こる細菌の二次感染を防ぐために、細菌に効果のある抗生物質が用いられます。        

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広報誌「エヌアイだより」第3号 「大腸の病気について」 深尾 俊一 副院長
大腸の病気というと、大腸癌を真っ先に思い浮かべる方が多いと思います。しかし大腸の疾患を頻度順に挙げると、まず機能異常・次に炎症・腫瘍となります。機能異常のなかには便秘症・過敏性腸症候群があげられます。この疾患は頻度がとても高い割に軽く見られがちですが、その調整・管理はとても重要で、うまくコントロールが出来るかどうかで日常の生活が変わってきます。たとえば便通一つとっても、その回数、便の硬さ、残便感、排便時のいきみ等々様々な訴えがあるわけで、それぞれに応じた対策治療が必要となります。炎症は急性の腸炎(特に細菌性)が多いですが、特殊なものとして潰瘍性大腸炎・クローン病といった病気があります。これらの対策・治療はさらに専門的な知識がないと難しいと思います。大腸癌に関しては様々なメディアを通じて多くの情報が流されています。癌治療に対して手術、薬物、放射線、その他の方法が挙げられます。しかし治る癌であるためには一にも二にも早期発見が一番と思われます。早期癌では内視鏡治療または縮小手術で治療は終了します。また再発の心配がほとんどありません。その為には定期的な大腸の検査による早期発見が必要だと思います。

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広報誌「エヌアイだより」第2号 「食中毒について」 遠藤 一夫 医師
 食中毒とは、有毒・有害な微生物や化学物質を含む飲食物を摂取した結果生ずる健康障害をいいます。食中毒の原因の90%以上が細菌性食中毒で、近年、病原性大腸菌(O157)、サルモネラ菌によるものが増加しています。
 大腸菌は、人や動物の大腸の中に生息する細菌で、通常は無害ですが、一部のものは、腸管に感染して下痢をおこします。この菌は病原性大腸菌と呼ばれ、O157もこれに分類されています。O157は平成8年に全国で多発し、大きな社会問題になりました。O157はベロ毒素を出し、食中毒をおこします。この菌は、食品や水からの感染だけでなく、人から人への感染もあり、感染力の強い細菌です。腸管に感染すると、1〜14日後に腹痛と、水のような下痢がおこり、後に血液が混じった下痢となり、ひどくなると急性の腎機能障害をおこし、特に抵抗力の弱い子供やお年寄りでは、死亡することもあります。
 サルモネラによる食中毒の原因食品として玉子焼き、自家製マヨネーズ、オムレツなどの鶏卵食品があげられます。12〜24時間の潜伏期間の後、腹痛、下痢、発熱(38〜39℃)などの症状が現れ、時に、吐き気、嘔吐、頭痛を伴うこともあります。通常、1〜2日で回復しますが、重傷になると、死亡することがあります。
 迅速な診断治療のため、下痢が続いたら、すぐに医師の診察を受けることが大切です。

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広報誌「エヌアイだより」第1号 「胃潰瘍と十二指腸潰瘍」 横田 広子 医長
 胃にできた傷が胃潰瘍、十二指腸にできた傷が十二指腸潰瘍です。傷ができれば通常は痛みます。胃潰瘍は食後、十二指腸潰瘍は空腹時に痛むことが多いです。いきなり強い痛みで発症することは少ないし、痛みの程度は個人差があるので、定期的に痛みがあるようなら検査をお勧めします。十二指腸潰瘍は癌とは関係しませんが、胃潰瘍は早期の癌が隠れている場合がありますので要注意です。
 潰瘍の治療は、ほとんど内科的に行われます。今はH2ブロッカー、PPI等の秀れた薬剤があるので、以前は難治性といわれた潰瘍でも大部分は治るようになりました。ただ、潰瘍には再発という厄介な問題があります。潰瘍の主な原因はストレスといわれており、一旦治っても、環境の中のストレス状況でいつでも再発する危険性をはらんでいます。したがって、潰瘍が治った後も再発予防のため薬を続ける事が必要と考えられていました。
 しかし、最近登場したヘリコバクター・ピロリ菌の話題が、その状況を変える可能性があります。 ピロリ菌は、潰瘍の無い人の胃にも存在するのですが、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の人の感染率は高く、除菌治療をして成功すれば潰瘍の再発と縁の切れる方が多いのです。
 当院でもピロリ菌の検査、および除菌治療を行っています。ただ、ピロリ菌と癌の関係はまだ不明で、これからの研究の積み重ねが必要です。

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